久しぶりに会った高齢の親を見て、「前より痩せたかもしれない」と心配になることがあります。
ただ、見た目の印象だけで、病気や低栄養と決めつけることはできません。本人の気持ちを大切にしながら、いつ頃から、どのくらい体重が減ったのかを一緒に見ていきましょう。
この記事では、体重を測って記録するときのポイントと、医療機関へ相談するときに伝えたい内容を紹介します。
※この記事は一般的な健康情報であり、病気の診断や治療を目的としたものではありません。体重が減り続けているときや、体調がいつもと違うと感じるときは、医療機関へ相談しましょう。
まずは体重の変化を確かめる
服がゆるくなったり、頬や腕が細く見えたりすることは、体重減少に気づくきっかけになります。
一方で、服装や姿勢によって、以前より痩せて見えることもあります。「病気かもしれない」と不安を強める前に、最近、体重を測ったか聞いてみましょう。
確認したいのは、次の3点です。
- いつ頃から痩せてきたのか
- 何kgから何kgへ減ったのか
- 本人が意識して体重を減らしていたのか
本人が意識して減らしたわけではないのに体重が減り続けているときは、年齢のせいと決めつけず、かかりつけ医に相談してみましょう。
体重を測るときは、できるだけ同じ条件にする
体重は、食事、水分、服装、測る時間によって変わります。できるだけ近い条件で測ると、増えたのか減ったのかが分かりやすくなります。
- 同じ体重計を使う
- 朝食前など、同じくらいの時間帯に測る
- 似た服装で測る
- 測った日と体重を記録する
毎日測ることが負担になる場合は、本人と相談し、無理なく続けられる頻度を決めましょう。持病などで医師から測り方を指示されている場合は、その方法に合わせます。
体重の記録は、本人が使いやすい方法でかまいません。カレンダー、手帳、スマートフォンなど、使い慣れたものを選びましょう。
体重が分からないときは、普段の様子を見る
体重計がない場合や、本人が測ることを望まない場合は、無理に測る必要はありません。日常生活で困っていることがないか、会話の中で聞いてみましょう。
- ベルトや服がゆるくなった
- 食べる量が減った
- 疲れやすくなった
- 歩くのが遅くなった
- 買い物や調理が負担になった
- 外出する機会が減った
一つの変化だけで原因を決めることはできません。複数の変化が続いているときや、本人も調子が悪いと感じているときは、気づいた時期をメモしておくと相談に役立ちます。
意図しない体重減少は相談のきっかけになる
厚生労働省の基本チェックリストでは、「6か月間で2〜3kg以上の体重減少」が健康状態を確認する項目の一つになっています。
また、国立長寿医療研究センターは、6か月で体重が5%を超えて減った場合を、隠れた病気がないか調べる目安として説明しています。体重50kgの人なら、5%は2.5kgです。
ただし、体重の減り方だけでは、病気や低栄養かどうかは分かりません。元の体重や減った期間、食事・体調の変化も合わせて考えることが大切です。
次のような場合は、早めにかかりつけ医へ相談しましょう。
- 本人が意図していないのに体重が減り続けている
- 6か月で2〜3kg以上、または元の体重の5%を超えて減っている
- 体重が減り、食事量や活動量も落ちている
- 数字は分からないが、以前より服が明らかにゆるくなった
- 本人が体調の変化を感じている、または家族が「いつもと違う」と感じている
この目安に当てはまらなくても、気になることが続くなら、かかりつけ医に話してみませんか。体重がどの程度減ったか分からなくても大丈夫です。
体重以外の症状にも目を向ける
体重以外に気になる症状がないか、本人に聞いてみましょう。
- 発熱、咳、痛みがある
- 吐き気、下痢、便秘などが続いている
- 食べ物が飲み込みにくい、むせる
- 息切れや強いだるさがある
- 気分の落ち込みや眠れない状態が続いている
- 食事や水分を十分にとれない
意識がぼんやりして呼びかけへの反応が鈍い、呼吸が苦しそうなど、急な体調変化があるときは、体重を測る必要はありません。迷わず119番へ連絡してください。
救急車を呼ぶか迷ったときの考え方は、救急車を呼ぶか迷ったとき|119番と#7119の使い分けにまとめています。
数日前まで元気だった親が急に元気をなくしたときは、高齢の親が急に元気がないとき|救急・受診の目安も参考になります。
受診時に伝えるメモを作る
診察では、体重の数字だけでなく、いつからどのように変わったかが大切な情報になります。分かる範囲で、次の内容をメモしておきましょう。
- いつ頃から痩せてきたか
- 何kgから何kgへ減ったか
- 本人が意識して体重を減らしていたか
- 食事量や水分量に変化があるか
- 発熱、痛み、便通、むせなどの症状があるか
- 買い物、調理、外出などに変化があるか
- 服用中の薬や、最近変更になった薬があるか
すべてを調べてから受診する必要はありません。分からないことは「分からない」と伝えて大丈夫です。
薬の影響が気になっても、家族の判断で中止したり、量を減らしたりせず、医師や薬剤師へ相談しましょう。本人の了解を得て、お薬手帳を持って行けると安心です。
薬の確認方法は、高齢の親の薬が増えてきたとき|家族が確認したいことでも紹介しています。
食欲・口・飲み込みに困ったときは
体重減少には、食事量、口の中、飲み込み、薬、病気、気持ちや生活環境など、さまざまな要因が関係することがあります。気になる様子があるときは、次の記事も参考になります。
- 食欲や食事量の低下:高齢の親の食欲が落ちたとき|まず見たいことと受診の目安
- 食事に手をつけない、途中で止まる:食事に手をつけないときの確認ポイント
- 柔らかい物ばかり選ぶ:入れ歯が合わないサインと歯科に相談する目安
- むせや飲み込みが心配:むせない誤嚥と誤嚥性肺炎のサイン
- 歩く速さや外出にも変化がある:高齢の親に見られるフレイルのサイン
- 買い物や調理が負担になった:一人暮らしの親が食事を作らなくなったとき
食事を工夫しても、食べにくさや体調の悪さが続くときは、医療機関へ相談しましょう。
本人を責めずに声をかける
体重が減っていると、家族は「もっと食べてほしい」と焦るかもしれません。ただ、「もっと食べて」と繰り返し言われると、本人は責められているように感じることがあります。
まずは心配していることをやさしく伝え、本人が困っていることを聞いてみましょう。
最近、少し痩せたように見えて心配してるんだけど、体調や食事で困っていることはない? よかったら一緒に体重を見てみない?
本人が今は話したくないときは、無理に体重や食事内容を聞き出さず、時間をおいてから、もう一度声をかけてもよいでしょう。家族の心配だけを優先せず、本人がどのように過ごしたいかも一緒に考えることが大切です。
まとめ|体重の減り方を記録して相談する
高齢の親が以前より痩せたように見えたら、原因を決めつけず、いつからどのくらい体重が減ったのかを確かめてみましょう。
意図しない体重減少が続いているときは、記録した内容をかかりつけ医へ伝えましょう。食事量や体調、暮らしぶりにも気になる変化があれば、それも一緒に伝えると診察に役立ちます。体重が分からなくても、家族が気づいたことは相談のきっかけになります。
まずは「最近、困っていることはない?」と、本人の気持ちを聞くところから始めてみませんか。


コメント