離れて一人で暮らす高齢の親から「最近よくむせる」「食欲がない」と聞くと心配になりますよね。
高齢者のなかには、食べ物や唾液が気管に入っても、むせたり強く咳をしたりできない方がいます。
一人暮らしでは食事中の様子を毎日確認できないため、電話での声や咳、訪問したときの食べ残し、体重など、普段との違いに気づくことが大切です。
この記事では、離れて暮らす家族が確認したい変化、誤嚥性肺炎のサイン、受診の目安を看護師の視点でまとめます。
※呼吸が苦しい、唇の色が悪い、呼びかけへの反応がおかしい場合は、記事を読み進めず119番へ連絡してください。
むせない誤嚥とは
「誤嚥」とは、食べ物や飲み物、唾液などが、食道ではなく気管に入ってしまうことです。
通常はむせや咳によって外へ出そうとしますが、高齢になるとのどの感覚や咳をする力が低下し、誤嚥してもむせない場合があります。これを「不顕性誤嚥」、いわゆる静かな誤嚥といいます。
フレイルや認知機能の変化、脳梗塞の後遺症、パーキンソン病、薬による眠気なども、飲み込みに影響することがあります。
誤嚥したからといって必ず肺炎になるわけではありません。ただし、「むせていないから大丈夫」とも言い切れないため、食事以外の変化にも注意が必要です。
電話や訪問で気づきたい変化
電話では、次のような変化を確認してみましょう。
- 声がガラガラ、ゴロゴロしている
- 咳払いや痰が増えた
- 食べると疲れる、食欲がないと話す
- 息切れして会話が続きにくい
- 受け答えがいつもよりぼんやりしている
訪問したときは、次の点も手がかりになります。
- 食べ残しや未開封の食品が増えた
- 以前より痩せて見える
- 薬が残っている
- 部屋の中を歩くだけで息切れする
- 発熱やだるさを繰り返している
- 歯や入れ歯に痛みがある
「自分で生活できているから大丈夫」と決めつけず、小さな変化が重なっていないかを見ることが大切です。
一度にすべてを確認しようとせず、普段の会話のなかで少しずつ聞くと、親も答えやすくなります。
受診・救急相談の目安
むせや声の変化に加えて、発熱、咳、痰、食欲低下、元気の低下などが続く場合は、早めにかかりつけ医へ相談しましょう。
高齢者の肺炎では、高熱や激しい咳が出ず、「食べない」「動かない」「眠ってばかりいる」といった変化だけの場合もあります。
次のような状態がある場合は、迷わず119番への連絡を考えてください。
- 息が苦しい、呼吸が明らかに速い
- 唇や顔色が青白い
- 呼びかけへの反応がおかしい
- 食べ物を詰まらせ、声や咳が出ない
- 水分も飲み込めない
- 短時間で状態が悪化している
救急車を呼ぶか迷う場合は、対応地域であれば「救急安心センター♯7119」へ相談できます。
親と一緒に確認したい食事のポイント
家族が細かく管理するのではなく、親が無理なく続けられる方法を一緒に考えましょう。
- 眠気や体調不良が強いときは無理に食べない
- 横になったまま食べず、安定した姿勢で食べる
- 急がず、一度に多く口へ入れない
- むせや声の変化があれば、いったん食事を止める
- 歯や入れ歯、口の乾燥が気になるときは歯科へ相談する
細かく刻めば安全とは限りません。とろみや食事形態を大きく変える場合は、自己判断だけで進めず、医師や言語聴覚士、管理栄養士などへ相談しましょう。
安全だけでなく、親の好みや食事の楽しみを守ることも大切です。
相談先とまとめ
飲み込みが心配なときは、まず、かかりつけ医へ「誤嚥や飲み込みの低下が心配です」と伝えましょう。
受診時には、むせる食品、食後の声や咳、発熱、食事量、体重、薬の変更などを伝えると役立ちます。
一緒に受診できない場合は、親の了承を得たうえで、確認してほしいことを紙にまとめて渡す方法もあります。
かかりつけ医がいない場合や、一人暮らしの今後について迷う場合は、親が住む地域の地域包括支援センターへ相談できます。
家族がすべてを管理する必要はありません。「むせていないから大丈夫」と決めつけず、声、咳、食欲、体重、元気などの変化を一緒に確認していきましょう。
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