「最近、親が転びやすくなった気がする」
「背中が丸くなってきた」
「身長が縮んだように見える」
高齢の親にこんな変化があると、家族としては少し心配になりますよね。
転倒そのものも心配ですが、もう一つ気をつけたいのが「骨の弱さ」です。
骨が弱くなっていると、ちょっとした転倒や、軽く尻もちをついただけでも骨折につながることがあります。
その原因の一つに、骨粗鬆症があります。
骨粗鬆症は、骨の量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
この記事では、骨粗鬆症の検査を考えたいタイミングや、家族が気づきたい変化、日常生活でできる工夫について、看護師の視点でやさしくまとめます。
骨粗鬆症は「痛くないから大丈夫」とは言えない
骨粗鬆症というと、「骨がスカスカになる病気」というイメージがあるかもしれません。
ただ、骨粗鬆症は進んでいても、初めは痛みなどの自覚症状がないことがあります。
そのため、本人も家族も気づきにくく、転倒や骨折をきっかけに初めてわかることがあります。
特に高齢の方では、骨折をきっかけに入院したり、動く量が減ったり、筋力が落ちたりすることがあります。
そこから生活の自立度が下がってしまうこともあるため、「転んでから考える」よりも、早めに骨の状態を知っておくことが大切です。
骨粗鬆症で骨折しやすい場所
骨粗鬆症があると、ちょっとした転倒でも骨折しやすくなります。
特に注意したいのは、次のような場所です。
- 背骨
- 手首
- 太ももの付け根
背骨の骨折では、強い痛みが出ることもありますが、はっきりした痛みが少ないまま、背中が丸くなったり、身長が縮んだりすることもあります。
太ももの付け根の骨折には、大腿骨頸部骨折などがあり、大きくは大腿骨近位部骨折と呼ばれることもあります。歩く力や生活の自立に大きく影響することがあるため、注意したい骨折の一つです。
高齢の親が転びやすくなっている場合は、転びやすくなった時の確認ポイントもあわせて見ておくと安心です。
骨折は、その後の生活にも影響することがある
実際の現場でも、「腰が痛い」と受診したら腰椎の圧迫骨折が見つかったり、転倒をきっかけに大腿骨頸部骨折や大腿骨近位部骨折で入院になる方は少なくありません。
特に高齢の方では、骨折そのものだけでなく、入院や安静をきっかけに筋力が落ちたり、歩く力が弱くなったりすることがあります。
それまで自分で歩けていた方でも、骨折後は介助が必要になったり、寝て過ごす時間が増えたりすることもあります。
だからこそ、骨粗鬆症は「骨の病気」だけではなく、これからの生活を守るために早めに気づきたいものです。
骨粗鬆症の検査はいつ受ける?
骨粗鬆症の検査は、骨の状態を知るために行います。
代表的なのが、骨密度を測る検査です。
自治体の骨粗鬆症検診では、40歳から70歳までの女性を対象に、5歳ごとの節目で実施されていることがあります。
ただし、このブログを読んでいる方の中には、70代、80代の親を見守っている方も多いと思います。
その場合は、自治体検診の対象年齢にこだわりすぎなくて大丈夫です。
次のような場合は、整形外科やかかりつけ医に相談してみると安心です。
- 転倒したことがある
- 骨折したことがある
- 背中や腰が丸くなってきた
- 身長が縮んだように見える
- 腰や背中の痛みが続いている
- 歩く力が落ちてきた
- ステロイド薬を長く使っている
- 食事量が減っている
- 家にこもりがちで日光に当たる機会が少ない
「まだ歩けているから大丈夫」と思っていても、骨の弱さは見た目だけではわかりません。
心配な変化がある時は、一度相談しておくと安心です。
家族が気づきたい骨粗鬆症のサイン
骨粗鬆症は、本人が「骨が弱くなっている」と自覚しにくいことがあります。
だからこそ、家族が生活の中で変化に気づくことが大切です。
身長が縮んだ
「前より小さくなった気がする」
「服の丈が合わなくなった」
このような変化がある時は、背骨の骨折や姿勢の変化が関係していることがあります。
もちろん、身長が縮んだから必ず骨粗鬆症というわけではありません。
ただ、急に変化を感じる場合や、背中・腰の痛みがある場合は相談の目安になります。
背中や腰が丸くなってきた
高齢になると姿勢が変わることはあります。
ただし、背中が急に丸くなった、腰が曲がってきた、以前より歩きにくそうにしている場合は注意が必要です。
背骨の骨折が隠れていることもあるため、痛みが続く場合は早めに相談しましょう。
転びやすくなった
骨粗鬆症そのものが転倒を起こすわけではありません。
でも、転びやすくなっている人に骨の弱さがあると、骨折につながりやすくなります。
夜中のトイレ、段差、玄関、浴室、布団やカーペットの端などは、転倒しやすい場所です。
- 最近よくつまずく
- 歩く時にふらつく
- 立ち上がりが不安定
このような変化がある時は、転倒予防と骨の確認をセットで考えたいところです。
夜中のトイレが増えている場合は、夜間のトイレと転倒予防の記事も参考になります。
軽い転倒でも強い痛みがある
軽く転んだだけなのに、腰や背中、股関節、手首などの痛みが強い時は注意が必要です。
高齢の方は、「大丈夫」と我慢してしまうことがあります。
でも、痛みが続く、歩けない、立てない、動くと強く痛む場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
救急車を呼ぶか迷うほど様子が違う時は、119や#7119の使い方も確認しておくと安心です。
検査はどこで受けられる?
骨密度検査は、整形外科で相談できることが多いです。
また、自治体の骨粗鬆症検診や、健康診断・人間ドックのオプションとして受けられる場合もあります。
ただし、検査できる場所や対象年齢、費用は地域によって違います。
まずは、次のような方法で確認してみるとよいです。
- かかりつけ医に相談する
- 整形外科に相談する
- 市区町村の健診案内を見る
- 健康診断や人間ドックのオプションを確認する
親が病院に行くのを嫌がる場合は、いきなり「骨粗鬆症かもしれないよ」と言うより、
「最近転びやすそうで心配だから、一度骨の状態も見てもらおうか」
と伝えると、受け入れやすいことがあります。
骨を守るために家族ができること
骨粗鬆症の予防や対策は、「これだけやれば大丈夫」というものではありません。
食事、運動、日光、転倒予防、治療の継続などを、無理なく組み合わせることが大切です。
食事はカルシウムだけに偏らない
骨というとカルシウムを思い浮かべる方が多いと思います。
もちろんカルシウムは大切です。
ただ、骨を守るには、たんぱく質、ビタミンD、ビタミンKなども関係します。
食事量が落ちている親の場合は、栄養が全体的に不足していることもあります。
「カルシウムだけ増やせばOK」と考えるより、食事全体を見直すことが大切です。
食欲低下や体重減少がある時は、フレイルのサインもあわせて確認してみましょう。親が急に弱った?フレイルのサインでも詳しくまとめています。
日光に当たる機会をつくる
ビタミンDは、骨の健康に関係する栄養素です。
日光に当たることで、体の中でビタミンDが作られます。
外出が減っている方は、日光に当たる機会も少なくなりがちです。
無理に長時間外に出る必要はありませんが、体調や季節に合わせて、短時間の散歩やベランダで日を浴びる時間を作れるとよいですね。
無理のない運動を続ける
骨を守るには、骨に適度な刺激が入る運動も大切です。
ウォーキングや筋力トレーニングなど、骨に刺激が加わる運動は骨粗鬆症予防にも役立つとされています。
ただし、すでに骨折したことがある方や、腰痛・関節痛がある方は、自己判断で運動を増やすのは注意が必要です。
その場合は、医師やリハビリ職に相談しながら、安全にできる運動を選びましょう。
転ばない環境を整える
骨が弱くなっている場合、転倒を防ぐことがとても大切です。
家の中では、次のような場所を見直してみましょう。
- 床に物が置きっぱなしになっていないか
- カーペットやマットがめくれていないか
- 夜中のトイレまでの道が暗くないか
- 玄関や浴室に手すりがあるか
- 履物が脱げやすくないか
- 電気コードにつまずく場所がないか
特に夜中のトイレは、眠気、暗さ、ふらつきが重なりやすい時間です。
足元灯を置いたり、滑りにくい室内履きを近くに置いたりするだけでも、転倒予防につながります。
家の中の転倒予防については、高齢の親が転びやすくなった時の記事でも詳しくまとめています。
早めに相談したい時
次のような時は、様子を見すぎず相談しましょう。
- 転倒後、腰や背中、股関節、手首が強く痛む
- 痛みが数日続いている
- 立てない、歩けない
- 背中が急に丸くなった
- 身長が急に縮んだように見える
- 骨折したことがある
- 食事量が落ち、体重も減っている
- 家の中で転ぶことが増えた
特に、転倒後に強い痛みがある、歩けない、いつもと様子が違う場合は、早めの受診を考えてください。
「大丈夫そう」と思っても、高齢の方は痛みを我慢してしまうことがあります。
家族が見て「いつもと違う」と感じたら、その感覚も大切にしていいと思います。
まとめ|骨粗鬆症は、転んでからではなく早めに気づきたい
骨粗鬆症は、見た目だけではわかりにくい病気です。
痛みがないまま進み、転倒や骨折をきっかけに気づくこともあります。
高齢の親に、
- 転びやすくなった
- 背中が丸くなった
- 身長が縮んだ
- 腰や背中の痛みが続く
- 骨折したことがある
このような変化がある時は、骨密度検査や整形外科への相談を考えてみましょう。
骨を守ることは、これからも歩くこと、出かけること、自分らしく生活することを守ることにもつながります。
家族ができることは、親を責めることではなく、小さな変化に気づいて、一緒に安全な暮らしを考えることです。
気になる変化がある時は、「年のせいかな」で終わらせず、早めに相談してみてくださいね。
参考リンク
この記事についてのご注意
この記事は、一般的な健康情報としてまとめたものです。
症状が続く場合や、急な体調変化がある場合は、自己判断せず、かかりつけ医や整形外科などに相談してください。


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