一人暮らしの高齢の親の退院が決まると、「帰った日から、食事を用意できるだろうか」と気になるかもしれません。離れて暮らしていると、毎日作りに行くのは難しいこともあります。
まずは、退院後の食事について病院からどのような説明を受けているかを確かめましょう。そのうえで、買い物や料理、食事を温めることなど、どこに手助けが必要かを本人と一緒に考えてみませんか。
この記事では、退院前に聞いておきたいことと、帰宅後の食事を用意する方法を整理します。家族の手伝いや地域の配食、宅配食を、ご家庭に合う形で組み合わせるための準備を紹介します。
※この記事は一般的な情報です。退院後の食事は、病院で受けた個別の説明に沿って準備してください。一人暮らしを再開できるかどうかは、本人の希望と必要な支援を含め、病院の担当者と相談しましょう。
退院前に、食事について病院へ聞いておく
家で用意する食事を考える前に、入院中にどのような食事を食べているか、退院後も注意が必要なことは何かを聞いておきましょう。
「退院後は一人暮らしで、家族は毎日食事を作りに行けません」と伝えると、自宅での準備について相談しやすくなります。本人の同意を得て、家族も食事の説明を一緒に聞けるか尋ねてみてください。
聞いておきたいのは、次のようなことです。
- 食事の量や内容に、退院後も守る必要のある指示があるか
- 塩分・たんぱく質・水分などについて、注意することがあるか
- 食べ物の硬さや形、飲み込みについて、気をつけることがあるか
- 食物アレルギーなど、避ける必要のある食品があるか
- 自宅で用意する食事や宅配食について、管理栄養士へ相談できるか
- 食べられない、むせるなどの困りごとが出たら、どこへ連絡するか
病気や体の状態によって、必要な食事は異なります。「高齢だから薄味にしよう」「食欲がないから栄養を増やそう」と家族だけで決めず、具体的にどのような食事を用意すればよいかを聞きましょう。
説明が分かりにくかったところは、その場で聞き直して大丈夫です。食事の注意点や連絡先は、本人と家族があとで見返せるようにしておくと役立ちます。
買い物から片づけまで、どこに手助けが必要か考える
「料理ができるか」だけでは、食事の準備で困るところが分からないこともあります。買い物に行くところから食後の片づけまで、作業を分けて考えてみましょう。
| 場面 | 本人と確かめたいこと |
|---|---|
| 買い物 | 食材を買いに行き、持ち帰れるか |
| 調理 | 台所に立ち、食材を切ったり加熱したりすることが負担にならないか |
| 受け取り | 配達日時に受け取れるか。難しいときに頼める人はいるか |
| 保管・温め | 冷蔵庫や冷凍庫へ入れられるか。容器を開け、表示どおりに温められるか |
| 片づけ | 食器を洗い、容器やごみを片づけられるか |
たとえば、料理は続けられても、重い食材を持ち帰ることが大変なら、買い物だけを手伝う方法があります。料理で疲れてしまうなら、一部の食事を調理済みのものに置き換える方法も考えられます。
訪ねられるときは、本人が普段使っている台所で、一緒に食事の準備をしてみましょう。電話では気づかなかった、容器の開けにくさや冷凍庫の空き具合なども見られます。
すべてを家族が引き受ける必要はありません。「自分で続けたいことはある?」「退院してしばらく、どこを手伝うと楽かな?」と聞きながら、できることは続けられる形を考えましょう。
家族の手伝い・総菜・配食を組み合わせる
毎日の食事を、一つの方法だけで用意しようとしなくても大丈夫です。本人の希望と、ご家庭で続けられる範囲を合わせて考えてみてください。
- 料理はできるけれど、買い物が大変なとき: 家族が食材を買って届ける、食材の配達を利用するなど、買い物だけを手伝う方法があります。
- 料理をする体力がまだ戻っていないとき: 病院で説明された条件に合う総菜や冷凍の調理済み食品、常温保存できるレトルト食品などを候補にし、本人が開けて準備できるかを確かめます。
- 退院日に配食が間に合わないとき: 家族が帰宅後の食事を用意し、初回の配達までに食べる分も一緒に決めておく方法があります。
商品を選ぶときは、病院で説明された食事の量・内容・硬さに合うか、食物アレルギーの原因になるものが入っていないかを確かめてください。判断に迷うときは、商品表示を見ながら主治医や管理栄養士へ相談しましょう。
食材が届いても、料理をすることが難しければ、負担は残ります。反対に、料理が好きで続けたい人には、食材を届けてもらうだけで役立つかもしれません。
家族が手伝う場合も、「退院当日は用意する」「訪ねる日に買い物をする」など、できる範囲を具体的に決めておきましょう。退院直後の手伝いと、その後に続ける方法を分けて考えると、無理を減らしやすくなります。
地域の配食など、利用できる支援があるか知りたいときは、市区町村や地域包括支援センターへ相談してみてください。対象者、配達する地域や曜日、費用はサービスごとに確かめましょう。
相談先については、地域包括支援センターにはいつ相談する?介護保険がまだ必要かわからない家族へでも紹介しています。
宅配食は、食事の条件と使いやすさを確かめて選ぶ
宅配食を使う場合も、まずは病院で説明された食事の条件に合うかを確かめましょう。商品の内容が分かる資料や栄養成分表示を、主治医や管理栄養士に見てもらう方法もあります。
「高齢者向け」「やわらかい」といった表示だけでは、本人の食事に合うかまでは判断できません。噛みにくさや飲み込みにくさがある場合は、どのような形の食事が必要かを医療者へ相談してください。
食事の内容に加えて、家で使いやすいかも大切です。
- 冷凍・冷蔵などの保存方法と、保管場所が合っているか
- 配達を受け取り、容器を開けて温められるか
- ごはん付きか、おかずだけか。別に用意するものはあるか
- 一度に届く食数や、配達する曜日が暮らしに合うか
- 送料を含む費用と、注文の変更・休止の条件を理解できるか
使い続けられるかは、味や量の好みも聞きながら考えましょう。少ない食数で注文できる商品なら、食べやすさや準備のしやすさを確かめてから継続を決める方法もあります。
宅配食の種類や具体的な商品の違いは、高齢の親に宅配食を選ぶときのポイントにまとめています。食事の条件を確かめたうえで、保管や温め、送料を含む費用を比べるときに参考にしてください。
退院当日と、食事が届かない日の準備もしておく
利用するサービスを決めても、初回の配達が退院日に間に合うとは限りません。帰宅したあとに何を食べるか、誰が用意するかを先に決めておきましょう。
配達のない日や、通院で受け取れない日の食事も考えておくと、慌てずに済みます。
| 準備しておくこと | 本人と決める内容 |
|---|---|
| 退院当日の食事 | 帰宅後に食べるものと、用意する人 |
| 初回の配達 | 届く日と、受け取る人 |
| 配達がない日の食事 | 家に用意しておくものや、買ってくる人 |
| ごはんなどの追加 | おかずだけの商品を使う場合、主食をどう用意するか |
| 予定が変わったとき | 配達の変更方法と、間に合わないときに頼める相手 |
家族が訪ねる日には、容器の開け方や温め方を一緒に試してみてください。電子レンジのボタンや表示が分かりにくければ、本人が使いやすい案内を考えましょう。説明だけでは難しい場合は、温めを手伝う人や別の食事の用意も含めて、病院の担当者へ相談してください。
食品の保存方法、期限、温め方は、それぞれの商品に書かれた表示に従います。冷蔵庫や冷凍庫へ入れるところまで無理なくできるかも、あわせて確かめておきましょう。
退院後も、用意した食事を食べられているか確かめる
食事を届けてもらえるようになったあとも、本人に合っているかを聞いてみましょう。「ちゃんと食べた?」と確かめるだけでなく、どこが食べにくいかを聞くと、次の工夫につながります。
たとえば、電話でこんなふうに尋ねてみてはいかがでしょうか。
- 「今日のごはん、量はどうだった?」
- 「開けたり温めたりするとき、困ったところはなかった?」
- 「硬くて食べにくいものや、残したものはあった?」
訪ねたときに食事が残っていたら、責めずに理由を聞きましょう。量や味の好み、容器の扱いにくさなど、調整できることが見つかるかもしれません。
量や商品の使い方で困る場合は事業者へ相談できます。一方で、むせる、飲み込みにくい、食事量が明らかに減った、水分がとれないなどの心配があるときは、商品の変更だけで済ませず、退院時に案内された連絡先やかかりつけ医へ早めに相談してください。
急に呼吸が苦しくなったり、意識や反応がおかしかったりする場合は、119番へ連絡してください。 次の受診日や家族の到着を待たず、救急要請を優先しましょう。
宅配食が何食も残る場合は、注文を減らす前に、本人が普段何を食べているかも確認しましょう。高齢の親の宅配食が余るとき|注文数・配達日の見直し方で、残りの食数と配達予定の確認、注文を見直す方法を紹介しています。
食事以外も含めた退院後の準備は、高齢の親の退院後、一人暮らしに戻して大丈夫?|家族が入院中に確認したいことで整理しています。
まとめ:まず、退院当日の食事を本人と決める
退院後の食事は、家族が毎日作りに行く方法だけではありません。本人が続けられることを大切にしながら、手伝いやサービスを組み合わせてみましょう。
準備は、次の3つから始められます。
- 病院で、退院後の食事の注意点と相談先を聞く
- 買い物から片づけまで、どこに手助けが必要かを考える
- 退院当日と、配達がない日の食事を決める
すべてを一度に決めようとしなくても大丈夫です。まずは退院した日の食事を、何にするか・誰が用意するか、一緒に決めてみましょう。
参考情報
- 厚生労働省:配食利用者向けパンフレット「配食サービスを上手に利用しましょう」
- 厚生労働省:配食注文時のアセスメント及び継続時のフォローアップにおける確認項目例
- 国立長寿医療研究センター:栄養管理部
- 厚生労働省:こんな時は迷わず119へ
参考情報は2026年10月6日に確認しました。


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