「最近、同じ話を何度もするようになった」
「薬を飲み忘れている気がする」
「前より料理や片づけが難しくなってきたかも」
高齢の親にこんな変化があると、家族としては「もしかして認知症かも?」と不安になりますよね。
ただし、もの忘れや行動の変化があるからといって、すぐに認知症と決まるわけではありません。
認知症とは、いろいろな原因によって認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態を指します。もの忘れだけでなく、判断力、理解力、段取りを考える力なども関係します。
また、加齢によるもの忘れ、うつ、せん妄、薬の影響、体の病気などでも、認知症のように見えることがあります。
そのため、家族が「認知症だ」と決めつけるのではなく、前と比べて生活の中でどんな困りごとが増えているかを見て、必要に応じて相談することが大切です。
この記事では、認知症かも?と思った時に、家族が見ておきたい生活の変化と、相談した方がよい目安をまとめます。
認知症かどうかは、家族だけで判断しなくていい
まず大切なのは、認知症かどうかを家族だけで判断しようとしないことです。
認知症かどうかは、医師の診察や検査を含めて判断されます。家族ができるのは、診断することではなく、前と比べて生活の中でどんな困りごとが増えているかに気づくことです。
たとえば、次のような変化です。
- 同じ話や質問が増えた
- 薬の飲み忘れが増えた
- 料理や片づけに時間がかかるようになった
- 慣れた道で迷うようになった
- 怒りっぽい、ふさぎこむなど性格が変わったように見える
こうした変化を、責めるためではなく、相談時に伝えるために見ていきましょう。
加齢によるもの忘れとの違い
年齢を重ねると、誰でも名前がすぐに出てこなかったり、昨日の食事内容を思い出せなかったりすることがあります。
もの忘れがあるからといって、必ずしも認知症とは限りません。また、もの忘れが目立たなくても、生活のしづらさから認知症が疑われる場合もあります。
大切なのは、もの忘れがあるかどうかだけでなく、生活に支障が出ているかを見ることです。
たとえば、「朝ごはんのメニューを思い出せない」だけなら、よくあるもの忘れの範囲かもしれません。
一方で、「朝ごはんを食べたこと自体を忘れている」「何度説明しても同じことを繰り返す」「約束を忘れて生活に支障が出ている」場合は、早めに相談した方が安心です。
家族が気づきたい生活の変化
1. 同じ話や質問が増えた
同じ話を何度もする。
さっき聞いたことをまた聞く。
約束を忘れる。
置き忘れや探し物が増える。
同じものを何個も買ってくる。
こうした変化は、家族が気づきやすいポイントです。
認知症では、数分前や数時間前の出来事を忘れる、同じことを何度も言う・聞く、約束を忘れる、同じものを何個も買ってくるなどの変化が見られることがあります。
ただし、ここで大切なのは「また忘れたの?」と責めないことです。
本人も不安だったり、失敗を隠そうとしていたりすることがあります。家族は、怒るよりもまず、どんな場面で困っているのかを見ていきましょう。
2. 薬やお金の管理が難しくなった
薬を飲み忘れる。
薬が余っている、または足りない。
通帳や財布を何度も探す。
支払いを忘れる。
お金の出し入れや手続きが難しくなる。
こうした変化も、生活に支障が出やすいポイントです。
認知症では、記憶だけでなく、理解力や判断力が低下することがあります。手続きや貯金の出し入れが難しくなることもあります。
薬の管理は、体調にも関わります。
いきなり「もう自分で管理しないで」と言うと、本人が傷つくことがあります。
まずは、「薬、飲みにくくなってない?」「お薬カレンダーを使ってみる?」のように、本人の気持ちを守りながら確認していくとよいです。
3. 料理や片づけ、身だしなみに変化が出た
料理の味つけが極端に変わった。
鍋を焦がすことが増えた。
冷蔵庫に同じ食材がたくさんある。
掃除や洗濯が前よりできなくなった。
季節に合わない服を着るようになった。
身だしなみに無頓着になった。
料理や家事は、実はかなり頭を使う作業です。
献立を考える、材料を確認する、手順を考える、火加減を見る、片づける。この流れが難しくなると、生活の中に変化が出てきます。
「だらしなくなった」と決めつけず、前はできていたことが、今は負担になっていないかを見ていきましょう。
4. 日付・予定・道順で困ることが増えた
今日の日付や曜日がわからなくなる。
予定を間違える。
慣れた道で迷う。
いつもの場所に行けなくなる。
出来事の順番がわからなくなる。
こうした変化も注意して見たいところです。
認知症では、時間や場所がわかりにくくなることがあります。日付や曜日がわからなくなる、慣れた道で迷う、出来事の前後関係がわからなくなることがあります。
ただし、外出が減った理由が認知機能だけとは限りません。
足腰の不安、転倒への怖さ、視力や聴力の低下、気分の落ち込みなども関係します。
「認知症だから出かけない」と決めつけず、歩きにくさ、見えにくさ、聞こえにくさ、不安の強さも一緒に見ていきましょう。
5. 性格が変わったように見える
怒りっぽくなった。
疑い深くなった。
ふさぎこむようになった。
趣味に興味を示さなくなった。
一人になるのを怖がる。
「物を盗られた」と言うことが増えた。
こうした変化を見ると、家族は戸惑いますよね。
でも、本人の中では「できないことが増えて不安」「失敗したことを知られたくない」「自分でも何が起きているかわからない」という気持ちがあるかもしれません。
認知症に伴う行動や心理面の変化として、不安、ふさぎこみ、怒りっぽさ、『物を盗られた』と感じてしまうような言動が見られることがあります。
家族は、言葉や行動だけを見て怒るのではなく、その背景に不安や困りごとがないかを見てあげることが大切です。
急に様子が変わった時は、早めに相談を
ここは、とても大事です。
認知症は、ゆっくり変化していくことが多い一方で、昨日から急に話がかみ合わない、急にぼーっとしている、急に時間や場所がわからなくなったという場合は、認知症だけで考えない方がよいです。
高齢者では、せん妄という状態が起こることがあります。
せん妄では、時間や場所が急にわからなくなる、注意力や思考力が低下する、1日の中で症状の強弱がある、夕方に悪化しやすいといった特徴があります。
せん妄の原因には、脱水、尿路感染症、便秘、睡眠不足、薬の影響などが関係することがあります。
次のような時は、早めに医療機関や相談窓口につなげましょう。
- 急に話がかみ合わなくなった
- ぼーっとして反応が悪い
- 発熱がある
- 水分や食事がとれていない
- 転倒後から様子が違う
- 薬を間違えて飲んだ可能性がある
- 火の消し忘れなど事故の危険がある
- 本人や家族の負担が大きくなっている
「認知症かも」と考える前に、体の不調が隠れていないかを見ることも大切です。
どこに相談すればいい?
相談先としては、次のような場所があります。
- かかりつけ医
- 地域包括支援センター
- 市区町村の高齢者相談窓口
- 認知症疾患医療センター
- もの忘れ外来
厚生労働省では、認知症に関する相談先として、地域包括支援センター、電話相談、認知症疾患医療センター、かかりつけ医、もの忘れ外来などを案内しています。
地域包括支援センターは、保健医療や介護に関する相談を受け、必要に応じて関係機関と連携しながら支援につなげる場所です。
「本人をすぐ病院に連れて行かなきゃ」と一人で抱え込まなくても大丈夫です。
まずは、家族だけで相談してもよいです。
相談前にメモしておくとよいこと
相談する時は、次のようなことをメモしておくと伝えやすくなります。
- いつ頃から変化があるか
- どんな場面で困っているか
- 急に変わったのか、少しずつ変わったのか
- 食事や水分はとれているか
- 睡眠はとれているか
- 発熱や転倒がなかったか
- 薬が変わっていないか
- 家族が一番困っていることは何か
「なんとなく変」だけだと、相談先でも状況が伝わりにくいことがあります。
たとえば、「1か月前から薬の飲み忘れが増えた」「最近、同じものを何度も買ってくる」「昨日から急に話がかみ合わない」のように、具体的に伝えられると相談しやすくなります。
まとめ
高齢の親にもの忘れや生活の変化があると、家族は不安になります。
でも、すぐに「認知症だ」と決めつける必要はありません。
大切なのは、前と比べて、生活の中で困りごとが増えていないかを見ることです。
- 同じ話や質問が増えた
- 薬やお金の管理が難しくなった
- 料理や片づけが負担になってきた
- 日付や道順で困ることが増えた
- 怒りっぽい、疑い深い、ふさぎこむなどの変化がある
こうした変化が続く時は、家族だけで抱え込まず、早めに相談しましょう。
早めに相談することは、本人を責めることではありません。
本人がこれからも安心して暮らすために、家族ができる大切な見守りのひとつです。
注意
この記事は、認知症の診断をするものではありません。気になる変化が続く場合や、急に様子が変わった場合は、かかりつけ医、地域包括支援センター、市区町村の相談窓口などに相談してください。
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この記事を書いた人
看護師あややです。高齢の親を見守る家族に向けて、日常の中で気づきたい体調や生活の変化を、できるだけわかりやすく発信しています。


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