離れて暮らす高齢の家族が元気に過ごしていると、ほっとしますよね。「まだ自分のことはできている」「買い物も家事もできている」「本人も大丈夫と言っている」そう思う一方で、暑い時期になると少し心配にもなります。
特に高齢の方は、暑さやのどの渇きに気づきにくくなりがちです。実際に、脱水や熱中症で入院された方の中には、真夏でもエアコンを使わずに過ごしていた方がいました。本人が「暑くないから大丈夫」と言っていても、体の中では水分が足りなくなっているかもしれません。
高齢になると「暑い」「渇いた」に気づきにくい
高齢になると、暑さや水分不足に気づきにくくなります。そのため、本人が「暑くないよ」「のどは渇いていないよ」と言っていても、安心しきれない場合もあります。
脱水や熱中症は、屋外だけで起こるものではありません。室内や夜間にも注意が必要です。特に一人暮らしの場合、部屋の暑さや体調の変化に本人が気づきにくいこともあります。
「トイレが近くなるから」と水分を控えていない?
高齢の方の中には、「トイレが近くなるから」と水分を控えてしまう方もいます。夜間のトイレを心配して、夕方以降の飲水を減らすケースもあります。
でも、水分を控えすぎると、脱水につながります。
心臓や腎臓の病気などで水分制限がある方は、主治医の指示に従う必要があります。そうでない場合は、のどが渇く前に少しずつ水分をとることが大切です。
夜中のトイレが増えて水分を控えたくなる時は、高齢の親の夜中のトイレが増えた時の記事も参考になります。
離れて暮らす家族ができる声かけ
離れて暮らす家族にできるのは、無理に生活を変えさせることだけではありません。まずは電話やLINEで、さりげなく聞いてみる。そこから始められます。
たとえば、こんな声かけです。
- 「今日は暑かったけど、エアコンつけてた?」
- 「水分は少しずつ飲めてる?」
- 「夜トイレが心配で、水分を控えすぎてない?」
「ちゃんと飲んでね」と強く言うより、ふだんの会話の中で聞くほうが、相手も答えやすくなります。
帰省や訪問した時にさりげなく見ておきたいこと
帰省や訪問をした時には、体調だけでなく、部屋の環境にも目を向けてみましょう。
- 部屋が暑すぎないか
- エアコンを使えているか
- 飲み物が手の届く場所にあるか
- 食事量がいつもより減っていないか
- いつもより会話が少ない、または受け答えがはっきりしないことはないか
- 立ち上がる時にふらついていないか
「水分をとってね」と言うだけでなく、すぐ飲める場所に飲み物があるかを見ることも大切です。ペットボトルを開けにくそうにしていないか、コップまで遠くないか、冷蔵庫の中に飲み物があるか。そんな点も、さりげなく確認できます。
電話で「あれ?」と思った時にできること
次のような変化がある時は注意が必要です。
- いつもより元気がない
- 食欲が落ちている
- ぼんやりしている
- 尿の回数が少ない・色が濃い
- めまいやふらつきがある
- 体が熱い
- 汗を大量にかいている、または暑いのに汗が出ていない
電話で話していて「あれ?」と思った時、離れて暮らす家族はすぐに様子を見に行けないこともあります。そんな時は、まず本人に次のことを伝えてみてください。
- エアコンをつけて、涼しい部屋に移動してね
- 飲めそうなら、水分を少しずつ飲んでみてね
- 近くにいる家族や知り合いに連絡できる?
可能であれば、近くに住む家族、親戚、知人、ご近所の方に様子を見てもらうことも考えます。持病がある方や、ふだんと違う状態が続く時は、まずはかかりつけ医へ相談するのが安心です。
かかりつけ医に連絡がつかない時や、救急車を呼ぶべきか迷う時は、地域によっては救急安心センター(#7119)で相談できます。
※#7119は利用できる地域が限られます。つながらない場合や緊急性が高い場合は119へ連絡してください。
ただし、次のような場合は迷わず119に連絡してください。
急にぐったりしている/意識がぼんやりしている/自分で水分がとれない/けいれんがある/体が熱く反応がいつもと違う
元気なうちから、さりげなく見守る
離れて暮らしていると、小さな変化には気づきにくいものです。でも、電話やLINEでの何気ない会話、帰省した時の部屋の様子から、気づけることもあります。
元気なうちから、さりげなく見守ること。それは、離れて暮らす家族にできる大切な健康支援のひとつです。
「大丈夫」という言葉を信じながらも、小さな変化に気づける関係を作っていきたいですね。
電話や訪問に加えて、室温や人の動き、接続した家電の使用状況などから変化に気づく見守り方法もあります。親がカメラを嫌がる、実家にWi-Fiがないなど、家庭によって合う方法は異なります。離れて暮らす親の見守りサービスの選び方を参考に、親と一緒に無理なく続けられる方法を考えてみてください。
この記事を書いた人
現役看護師として30年以上、病院で勤務しています。病棟・外来・救急・手術室など、さまざまな現場を経験してきました。
家族にも伝わるように、医療や健康の話をやさしい言葉で発信中です。健康は、毎日の小さな気づきから守れるもの。「健康資産」を少しずつ育てるきっかけになればうれしいです。
急にぐったりした、意識がぼんやりしている、呼吸が苦しそうなど、救急車を呼ぶか迷う時は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 救急車を呼ぶか迷ったら|家族が知っておきたい119・#7119の使い方
参考
- 厚生労働省「熱中症を防ぎましょう」https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html
- 厚生労働省「熱中症が疑われる人を見かけたら」https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/happen.html
- 環境省「熱中症予防情報」https://www.wbgt.env.go.jp/
