「次の病院、一緒に来てもらえる?」
離れて暮らす親からそう頼まれても、毎回帰省するのは難しいことがありますよね。交通費や移動時間に加えて、仕事や自分の家庭の予定もあります。
一人で病院まで行けるだろうか。先生に気になることを伝えられるだろうか。説明を聞いて帰ってこられるだろうか。
心配だから付き添いたい。でも、受診のたびに通うのは難しい。そんなときは、親の近くで付き添いを頼める人やサービスを探しながら、家族も電話で受診の準備を手伝う方法を考えてみましょう。
この記事では、予定している通院に毎回付き添えない家族に向けて、相談先と、受診前後にできることを紹介します。
まずは、通院のどこに手助けが必要かを聞いてみる
「一人で病院に行くのが心配」といっても、困っていることは人それぞれです。
病院までは行けても、受付や会計が難しい場合があります。移動には困らなくても、診察で聞きたいことを伝えられない場合もあるでしょう。
電話で話すときに、「病院に行くとき、どこが一番大変?」と聞いてみませんか。
家を出るまで
持ち物の準備や、玄関までの移動に困ることはある?
病院への行き帰り
歩くことや、車への乗り降りは大変ではない?
病院の中
受付、診察室への移動、トイレなどで困ることはある?
診察
先生に伝えたいことを話せる?説明で分かりにくいことはある?
診察の後
会計や薬の受け取り、帰宅まで一人でできそう?
「受付は自分でできるから、行き帰りだけ助けてほしい」ということもあります。
家族の心配だけで付き添いを決めず、本人が自分で続けたいことと、手伝ってほしいことの両方を聞いてみましょう。
親が住む地域で、通院の手助けを相談する
介護サービスを使っている場合は、担当のケアマネジャーへ
すでに介護サービスを利用しているなら、担当のケアマネジャーに相談してみましょう。
「離れて暮らしていて、毎回の受診に帰省するのが難しくなっています。本人は車への乗り降りと、病院内の移動に困っています。地域で頼める手助けはありますか」
「通院に付き添ってほしい」だけでなく、何に困っているかを具体的に伝えると、必要な支援を考えやすくなります。
相談相手が分からない場合は、地域包括支援センターへ
介護サービスを使っていない、誰に聞けばよいか分からないときは、親が住む地域の地域包括支援センターへ相談できます。
「一人暮らしの親の通院が心配ですが、私は遠方に住んでいて毎回付き添えません。介護認定は受けていません。利用できる移動支援や付き添いについて相談できますか」
支援の有無や利用条件は地域によって異なります。親の住所、介護認定の有無、通院先、必要な手助けを、分かる範囲で伝えてみましょう。
相談先の探し方は、地域包括支援センターにはいつ相談する?でも紹介しています。
通院先にも、家族が付き添えないことを伝える
付き添えないと分かったら、本人と相談して、早めに通院先へ連絡しておきましょう。
「次回は家族が付き添えません。本人は院内の移動と、診察の説明を聞くことに不安があります。事前に相談できる窓口はありますか」
病院によって、患者相談窓口や地域連携室など、窓口の名前は異なります。分からなければ受付で聞いて大丈夫です。
医療ソーシャルワーカーは、患者や家族の生活上の困りごとを聞き、福祉制度や地域の支援につなぐ仕事をしています。ただし、相談窓口が付き添いを手配・代行してくれるとは限りません。病院で受けられる手助けと、別に準備が必要なことを聞いてみましょう。厚生労働省「医療ソーシャルワーカー」
送迎・受付・診察の付き添いを頼めるか確認する
介護タクシーや付き添いサービスを探すときは、「病院まで送ってもらえるか」に加えて、到着してから帰宅するまで、誰が何を手伝うかを確かめましょう。
車への乗り降りを助けてもらうことと、待ち時間を一緒に過ごしたり、診察に同席してもらったりすることは、同じではありません。
病院内の移動やトイレなどの介助に、介護保険を使える場合もあります。ただし、必要な介助や病院側の対応状況などによって判断されます。担当のケアマネジャーに「本人に必要な手助けのうち、どこまで介護保険で頼めますか。自費になる部分はありますか」と聞いてみましょう。厚生労働省「訪問介護における院内介助の取扱いについて」
頼む前に、次の点を聞いておくと相談しやすくなります。
- 家の中での準備や移動も手伝ってもらえるか。帰宅後は玄関までか、部屋まで付き添ってもらえるか
- 受付、院内の移動、トイレ、診察への同席は頼めるか
- 会計や薬の受け取りも対応してもらえるか
- 待ち時間が延びた場合、料金はどう変わるか
- 運賃、付き添い料金、駐車料金などを含めて、いくらかかるか
- 予約変更やキャンセルの条件はどうなっているか
離れた家族が依頼する場合は、予約する人と支払う人、当日に連絡を受ける人も伝えておきましょう。家族が仕事中などで電話に出られない時間があれば、その場合の連絡方法も相談しておきたいですね。
ヘルパーに頼めることの全体像は、高齢の親にヘルパーを頼みたいときにまとめています。
受診前に、医師に伝えたいことを本人と一緒にメモする
受診前に電話で話し、先生に伝えたいことや聞きたいことを、本人と一緒にメモにしておきましょう。
まずは、「今回、先生に聞いておきたいことはある?」と、本人の話から始めてみましょう。家族が心配していることも、本人と相談してメモに加えます。
持参する短い受診メモ
- 今日、一番相談したいこと:
- いつから、どんな変化があるか:
- 暮らしの中で困っていること:
- 医師に聞きたいこと:
「最近、調子が悪い」だけでなく、「先週から、家の中を歩くときにふらつくことがある」など、分かる範囲で具体的に書きます。
電話で聞いたことと、会いに行ったときに実際に見たことは、分けて伝えましょう。
本人が書くのを負担に感じる場合は、家族が代わりにまとめ、内容を本人に確かめてもらう方法もあります。病院へ直接届けたい場合は、受け取ってもらえるか、どのように送ればよいかを事前に聞いておきましょう。
薬の相談があるときは、お薬手帳も用意しましょう。受診に必要な持ち物は、通院先の案内に合わせて確かめておきます。
診察で聞いたことを、家族にどう伝えるか決めておく
付き添えない家族が気になるのは、「診察で何と言われたのか」ということかもしれません。
ただ、帰宅してすぐに何度も質問されると、本人も疲れてしまうことがあります。受診前に、話しやすい時間と、共有してほしいことを相談しておきましょう。
例えば、次の4つです。
- 今日、どんな説明があったか
- 薬の変更や、生活で気をつけることはあるか
- 次の受診日はいつか
- どんなときに、どこへ連絡するよう言われたか
本人や付き添った人が書ける範囲で、メモを残してもらう方法もあります。分からなかった内容は推測で補わず、病院や薬局へ確認しましょう。
大切な説明がある日は、可能なら一緒に聞く
検査結果や今後の治療について大切な説明がある日は、可能であれば家族も付き添い、その場で質問できるとよいですね。毎回の帰省が難しい場合は、家族も一緒に説明を聞いたほうがよい受診日があるか、本人と相談して通院先へ聞いてみましょう。
受診後に家族が電話をしても、その場で病状や診察内容について説明を受けられるとは限りません。説明を受けたいときは、家族も説明を聞いてよいか本人に確認してから、病院の手順に沿って相談してください。厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」
家族の誰が病院と連絡を取るか決めておく
配偶者、子ども、親戚などがそれぞれ病院へ問い合わせると、同じ説明が重なったり、伝わった内容に違いが生じたりすることがあります。
本人と相談して、病院と主にやり取りする家族を一人決めておきましょう。病院へ質問したいことはその人にまとめましょう。ほかの家族へ何を伝えてよいかも本人と確認しておくと、相談した内容を共有しやすくなります。
最初に連絡を受ける家族が電話に出られないときは、次に誰へ連絡してほしいかも病院へ伝えておきましょう。仕事中など、電話に出にくい時間帯も知らせておくと安心です。
毎回帰省するのが難しいことも、相談してよい
「今回だけ付き添えない」のか、「これからも毎回は難しい」のか。その違いも、病院やケアマネジャーへ伝えてみましょう。
「今までは受診のたびに帰省していましたが、この先も同じように続けるのは難しいです。本人の希望も聞きながら、地域で受けられる支援を考えたいです」
家族が行ける日に受診を合わせられるかは、通院先へ相談してください。診察や検査の予定を、家族の都合だけで先延ばしにしないようにしましょう。
また、本人の体調や移動の負担から通院そのものが難しくなっている場合は、そのことも主治医へ伝えてください。今後どのように診療を受けていくか、相談するきっかけになります。
なお、呼びかけに反応しない、急に強い息苦しさがあるなどのときは、家族の帰省や付き添いの手配を待たず、119番へ連絡してください。厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」
まとめ|近くで頼れる人を探し、受診前後は家族も手伝う
離れて暮らす親の通院に、毎回付き添うのは簡単ではありません。
まずは、行き帰り、受付、診察のどこで困っているかを本人に聞き、通院先や地域の相談窓口へ伝えてみましょう。病院までの送迎に加えて、院内で必要な手助けも頼めるか確かめます。
離れた家族も、受診前に聞きたいことをメモにし、受診後に説明を一緒に振り返ることができます。病院と連絡する家族の窓口を決め、大切な説明の日は可能なら付き添えるか、相談してみましょう。
次の電話では、「病院に行くとき、今いちばん大変なのはどこ?」と聞くところから始めてみませんか。
本人の希望と、家族が続けられる形の両方を大切にしながら、通院を支える方法を考えていきましょう。


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