「最近、よくつまずくようになった」
「前より歩くのが遅くなった気がする」
「家の中で転びそうになったと聞いて心配」
高齢のご家族にこんな変化があると、心配になりますよね。
転倒は、ただの「うっかり」や「年のせい」だけではないことがあります。
筋力やバランスの低下、薬の影響、家の中の環境、食事量や活動量の低下など、いくつかの原因が重なっている場合もあります。
高齢のご家族は、転倒をきっかけに骨折し、しばらく入院が必要になる場合があります。
入院生活が長引くと、歩く・着替える・トイレに行く・入浴するなど、今までできていた日常の動作が難しくなることもあります。
だからこそ、転倒は「少しつまずいただけ」で終わらせず、早めに小さな変化に気づくことが大切です。
この記事では、離れて暮らす家族でも確認しやすいポイントを、看護師の目線でわかりやすくまとめます。
※この記事は、病気の診断や治療を目的としたものではありません。転倒後の症状や体調に不安がある場合は、医療機関や地域の救急相談窓口に相談してください。
歩き方が変わっていないか
まず確認したいのは、歩き方です。
以前と比べて、歩幅が小さくなった、すり足で歩くようになった、ふらつくことが増えた、立ち上がる時に時間がかかる、といった変化はありませんか?
家具や壁につかまりながら歩くようになったり、外出を面倒がるようになったりするのも、足腰の筋力やバランスが落ちてきているサインかもしれません。
久しぶりに会った時は、少し横や後ろから歩き方を見てみると気づきやすいです。
いきなり「歩き方おかしいよ」と言うと、ご本人が傷ついてしまうことがあります。
最近、歩く時に疲れやすくない?
くらいの方が、心配している気持ちが伝わりやすいです。
家の中に転びやすい場所がないか
高齢のご家族の転倒は、外だけでなく家の中でも起こります。
特に確認したい場所は、玄関・廊下・階段・トイレ・浴室・ベッドまわりです。
床に物が置いてある、電気コードが通り道にある、敷物やマットの端がめくれている、廊下や階段が暗い。
こうした小さなことが、つまずきや転倒につながることがあります。
特に夜中のトイレは注意が必要です。
寝ぼけていたり、足元が暗かったりすると、普段なら大丈夫な場所でも転びやすくなります。
- 夜トイレに行く道だけでも片づける
- 足元ライトをつける
- めくれたマットやコードを見直す
全部を一気に変えなくても、できるところからで大丈夫です。
靴やスリッパが合っているか
意外と見落としやすいのが、靴やスリッパです。
かかとのないスリッパ、サイズが大きい靴、底がすり減った靴、滑りやすい靴下、脱げやすいサンダルは、つまずきや転倒につながることがあります。
特に、家の中で履くスリッパは要注意です。
病院でも、転倒予防のためにスリッパではなく、足に合った室内履きを準備してもらうことがあります。
ポイントは、柔らかい素材で足にやさしく、脱ぎ履きしやすく、歩いた時に脱げにくいものです。
「昔から履いているから安心」と思っていても、底がすり減っていたり、足に合わなくなっていたりすることがあります。
転ばないように、履きやすそうなの見つけたよ
と伝える方が、受け入れてもらいやすいです。
注意するより、プレゼントのように渡す方が自然です。
薬が増えていないか
薬が増えたあとに、ふらつきや眠気が出ることがあります。
もちろん、薬は病気を治療したり、症状を安定させたりするために大切なものです。
でも、薬の種類によっては、眠気・めまい・ふらつき・立ちくらみなどが出ることがあります。
その結果、転びやすくなる場合があります。
最近薬が増えた、薬を飲んだあとに眠そうにしている、立ち上がった時にふらつく、飲み忘れや飲み間違いがある。
そんな様子があれば、受診時に相談してみると安心です。
ここで大切なのは、家族の判断で薬をやめたり、量を減らしたりしないことです。
薬を急にやめることで、体調を崩すことがあります。
気になる変化がある時は、お薬手帳を持って、医師や薬剤師に相談しましょう。
食事量や活動量が落ちていないか
転倒は、足元だけの問題ではありません。
食べる量が減った、体重が減った、外出が減った、一日中座っている時間が増えた、電話の声に元気がない。
そんな変化が続くと、筋力や体力が落ちやすくなります。
筋力が落ちると、動きにくくなります。
動きにくくなると、さらに外に出なくなります。
その結果、ますます転びやすくなることがあります。
今度一緒にごはん食べようか
くらいが自然です。
高齢のご家族にとっては、運動だけでなく、誰かと話すことや一緒に出かけることも大切な刺激になります。
転ばないために家族ができる小さな工夫
転倒予防というと、大がかりなリフォームを想像するかもしれません。
でも、最初から全部を変える必要はありません。
まずは、ご本人の生活を大きく変えずにできることから始めてみましょう。
- 夜トイレに行く道だけ片づける
- 足元ライトをつける
- めくれたマットやコードを見直す
- スリッパを脱げにくい室内履きに変える
- ふらつきがある時は受診時に相談する
- お薬手帳をひとつにまとめる
- 一緒に散歩や買い物に行く
大切なのは、完璧にすることではなく、危ないところをひとつずつ減らすことです。
ご本人にも、長年続けてきた生活の形があります。
急に全部変えようとすると、嫌がられることもあります。
夜トイレに行く時に心配だから、ここだけ一緒に片づけよう
と伝えると、受け入れてもらいやすいです。
転倒予防は、ご本人の生活を無理に変えさせることではありません。
これからも安心して暮らせるように、家族が一緒に危ないところを整えていくことです。
離れて暮らしていて毎日の生活リズムが分かりにくい場合は、電話や訪問に加えて、センサーや家電の使用状況から変化を確認する方法もあります。高齢の親の見守りサービスの種類と選び方も紹介しています。使うかどうかは家族だけで決めず、親が負担に感じにくい方法を一緒に選びましょう。
転んだ後に注意したいサイン
もし高齢のご家族が転んでしまった場合、痛みが軽そうに見えても注意が必要です。
- 頭を打った
- 意識がぼんやりしている
- 話し方がいつもと違う
- 吐き気がある
- 歩けない
- 足の付け根や腰を強く痛がる
このような時は、早めに医療機関へ相談しましょう。
特に、血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合や、頭を打った場合は、自己判断で様子を見すぎないことが大切です。
迷う時は、医療機関や地域の救急相談窓口に相談しましょう。
緊急性が高そうな時は、ためらわず救急車を呼んでください。
まとめ:転倒は小さな変化に気づくことから防げる
高齢のご家族が転びやすくなった時、家族が確認したいポイントは5つです。
- 歩き方が変わっていないか
- 家の中に転びやすい場所がないか
- 靴やスリッパが合っているか
- 薬が増えていないか
- 食事量や活動量が落ちていないか
高齢のご家族にとって転倒は、骨折や入院など、その後の生活に大きく影響することがあります。
だからこそ、「年のせいかな」で終わらせず、小さな変化に早めに気づくことが大切です。
大切なご家族が、これからも安心して暮らせるように。
まずはできるところから、やさしく見守っていきましょう。
急にぐったりした、意識がぼんやりしている、呼吸が苦しそうなど、救急車を呼ぶか迷う時は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 救急車を呼ぶか迷ったら|家族が知っておきたい119・#7119の使い方


コメント